天領盃酒造の歴史と酒造り

天領盃酒造のある「加茂歌代」という地名は以前、「加茂地区」と「歌代地区」に分かれており、天領盃酒造は歌代地区に属していました。歌代の地名は、順徳天皇が、島民が詠んだ詩を気にいると褒美として土地を与えたことに由来しています。

天領盃酒造は1983年に3つの酒蔵が合併し創業しました。創業当時は積極的に醸造機械を導入し、中小規模の酒蔵で初めてコンピューター管理も取り入れた酒造りを行って参りました。現在も最新の設備を毎年導入しており、年々酒質も酒蔵の中身も変化しています。省人化のための設備ではなく、「より高品質なお酒」を造るための設備を導入しているため、逆に新しい設備を入れたことにより人手がかかるようになることも珍しくありません。全ては「より良いお酒造り」のために天領盃酒造は変わり続けています。

現在も最新の機械を導入しております。それは機械で酒造りをするためではありません。私たち酒造りの大切なパートナーである微生物たちのためです。微生物にとって最良の環境を用意するための機械を導入しています。最高の酒造りの邪魔をする雑菌を極力排除するコンピューター制御となります。

自然の力、機械の力を借りながら、杜氏を筆頭に蔵人全員で酒造りを行う。職人の手、職人の目、職人の知恵と経験を織り成し、日本酒一本一本に熱い想いをこめています。あなたの生活をより豊かにするために、この天領盃が届くことを祈願いたします。

天領盃酒造始まって以来、初の後継者不在問題がありましたが、2018年3月からM&Aにより加登仙一が代表取締役に就任。日本酒業界、最年少の蔵元(当時26歳)となりました。脈々と受け継がれてきました伝統と文化を尊重しながら、新時代にお客様が求められる価値、日本酒を提供して参ります。温故知新の新たな天領盃酒造をお楽しみください。

参考記事:
世界に誇れるような場所を、自らの手で。

会社概要

会社名 天領盃酒造株式会社
代表取締役 加登仙一
設立 2008年12月20日
資本金 960万円
事業内容 清酒製造業
所在地 〒952-0028 新潟県佐渡市加茂歌代458
電話番号 0259-23-2111
FAX番号 0259-23-9111

代表あいさつ

〜様々な「時」をあなたと共に。〜

お酒を飲む時、そこには様々なシチュエーションがある。
仲間と楽しく食事をしている時。恋人と2人きりの優雅でおしゃれなひと時。悲しい時のやけ酒。お酒を飲みながら仲間と語らう。すると、不思議と距離が縮まる。

恋人に普段ならちょっと照れくさい感謝の言葉もお酒の力を借りれば言えるようになったり。悲しい時にはお酒を飲んで感情を吐き出せばいい。

会話を弾ませるためのお酒、ちょっとした勇気を与えてくれるお酒、自分に素直になるためのお酒。どんな時でもあなたが主役であり、楽しい時も悲しい時もあなたのそばにそっと寄り添える、私たちはそんな存在でありたい。

天領盃の理念

『日本酒を通してお客様の様々な「時」を演出する』ため、決して手を抜くことなく品質向上を常に考え続けることを大事にしています。手間隙のかかることでも品質につながることは全てやり切る。そのため大量生産はできないですが、飲んで頂いた方が感動する一杯を目指しています。
社員全員が楽しいと思える仕事をしていきます。いいお酒はいい造り手から。造り手にとっても働きやすい環境、社員全員が酒造りを楽しんで行うことができる環境を作っていきます。
日本酒を通して日本の良さを日本に、そして世界に伝えられる活動を行なっていきます。
日本酒を通して未粋経済の活性化、地域の魅力発信を絶えず行なっていきます。

天領盃と佐渡島

あまり知られていませんが、佐渡は沖縄に次いで日本で二番目に大きい離島です。東京23区の1.4倍ほどの大きさで、寒流と暖流が交わっています。
島の南では果物がよく育ち、青の洞窟もあり、南国の雰囲気です。その一方、北へいくと日本海の力強さを体感できる大自然が広がっています。同じ島の北と南でだいぶ異なる雰囲気を持ち合わせており、『日本の縮図』と称されます。また、歴史的に見ても数々の文化人が流刑されており、建築物、能楽、太鼓などの京文化が独特の発展を遂げています。
そして、朱鷺(トキ)。日本で唯一朱鷺が生息しているエリアで、世界農業遺産(GIAHS)や、農薬使用料を規定の半分以下とする「五割減減栽培」が慣習となっており、「朱鷺認証米」など独自の制度が行われています。

使用しているお米

こいしぶき

コシヒカリの孫にあたる品種です。食用でもよく名前を聞く方もいらっしゃるかもしれません。「越後の新しい息吹」という意味で「こしいぶき」と名付けられたようです。天領盃では、こしいぶきも佐渡産を採用しています。異常気象を想定・開発された品種なので、高温や冷害時にも安定した品質・収量を確保できる優れものです。ふくらみのある旨味が特徴です。

越淡麗

「越淡麗」は新潟県が16年もの歳月をかけて開発した酒米です。新潟県内でのみ栽培が許されています。天領盃では、越淡麗も佐渡産に拘っており、こちらも契約農家さんに栽培をお願いしています。母に「山田錦」、父に「五百万石」を持ち、両者の長所を併せ持った今注目の酒米です。五百万石より高精白に耐えられます。越淡麗の味わいは「柔らかくてふくらみがある」と言われています。

一本〆

一本〆は、新潟県でこしいぶきと同時期に開発された酒米です。今では滅多に見なくなったかもしれません。天領盃でも使っていませんでしたが、加登の熱意で少量の苗から増殖し、やっと使用できるまでの量にたどり着けました。母に五百万石、父に豊盃を持ち、味わいとしては、米の旨みが出るお酒に仕上がります。今はまだ雅楽代〜花明かり〜でのみ使用していますが、今後さらに一本〆を採用した商品を検討していますので、お楽しみに!

五百万石

新潟の気候や土に合うよう開発された五百万石は、酒米の王様と呼ばれる山田錦と肩を並べる酒米の代表です。名前の由来は、新潟県の米の生産量が五百万石(生産量)を突破したことです。天領盃で使用する五百万石は全て佐渡産。島内の契約農家さんにお願いしています。蔵人にとってはとても頼もしい酒米で、麹が造りやすく、醪(もろみ)になっても溶けすぎません。また、蒸米になったときには程よい弾力があり、安定した品質で造れます。味わいは淡麗に仕上がるのが特徴です。

使用しているお水

天領盃で使用する仕込み水は佐渡の最高峰、金北山の伏流水です。金北山から流れる伏流水は40年の歳月をかけて地下に浸透していき、大自然により濾過され、天領盃の井戸から湧き出ています。
創業当時、「佐渡中で水質調査を行い、もっとも酒造りに適した場所に蔵を建てた。」「その水質調査が大変で大変で...」と創業当時の社長は語ります。そのおかげで天領盃の仕込み水は、中程度の軟水で、舌触りが程よく丸く、酒造りにはもってこいの水質です。

天領盃 こだわりの日本酒製法

MJP洗米機

ジェット水流で洗い流すため手洗いなどでは取り除くことができない米糠や汚れまで落とし切ることができます。雑味の原因となる米糠をしっかりと落とすことで、出来上がる日本酒は透明感のある綺麗な味わいにすることができます。そのため天領盃では、すべてのお酒で10kgずつ小分けして洗米を行ない、その後シャワーの掛け流しにより、徹底的に米糠を落としています。

圧搾機の冷蔵設備

より搾りたてに近いクリアな味わいの清酒を皆様に提供するため、日本酒を搾るヤブタと呼ばれる圧搾機を冷蔵設備の中に入れています。日本酒を圧搾する際に冷蔵状態を作り上げることにより日本酒の醪に含まれる微量の炭酸ガスをより多く閉じ込めたまま圧搾することができ、発酵由来の自然な炭酸を楽しんでいただくことができるようになります。(商品により炭酸ガスのないものもございます)

サーマルタンク

低温で圧搾したお酒はすぐに-5度に設定されたタンクに移動し、2日以内の瓶詰めを行なっております。-5度で管理することで炭酸ガスが抜けにくくなり、香り成分も揮発しにくくなるため、できた絵の味わいをそのままお届けすることが可能になります。瓶詰めまでのたった2日という短い時間が、より良いものをお届けするための大きな分岐点になります。

SFフィルター

ろ過装置。活性炭を使用せずに0.45μのフィルターを通すことでろ過しています。活性炭を使用すると、味、香り、色す全てが取れてしまうため、使いません。炭酸ガスを残留させるため、ろ過は最小限に抑えており、SFフィルターろ過一回のみです。
サーマルタンクから瓶詰めの間に酒をポンプで移動させるときに間に挟むことで濾過しながら瓶詰めすることで酒の移動回数も減らし、炭酸ガス、香り成分の揮発を防いでいます。

瓶燗火入れ機

弊社の火入れ方法(加熱殺菌)は昔ながらの「瓶燗火入れ」という手法をとっています。
熱酒瓶詰めという手法(瓶に詰める前に加熱殺菌して高温の酒を瓶詰めする方法)が一般的で作業性もいいですが、瓶燗火入れ(生酒の状態で瓶詰め、打栓して瓶ごと加熱。)をすることにより、香りや炭酸ガスが残留しやすくなります。

氷温冷蔵庫

瓶詰め後も最高の品質を維持するため、-5度の冷蔵庫に貯蔵しています。

そのためゆっくりと熟成が進み、まろやかな味わいになります。。
上槽後から出荷直前まで-5度の管理を徹底しています。